ある程度の雀力がついて場数も踏んだのに、麻雀の成績に伸び悩んでいる方も多いと思います。麻雀は運要素も高いため、そういった波があるのは仕方ないのですが、長い目で見たら必ず自分の実力通りの成績になるはずです。上級者になれば、そういった波も承知で麻雀を打っているとは思いますが、どうしても壁にぶち当たってきます。
そこで今回は成績が伸び悩んでいる上級者のために、さらに1歩強くなるテクニックをご紹介します。もちろん麻雀の基礎部分を勉強した方が強くなりますが、基礎がある程度固まった上級者同士の戦いでは、今回紹介するテクニックで差がでてきます。
①ツモ切りor手出し(空切り)
空切り(からぎり)とは、手の中にある牌と同じ牌をツモったときに、手牌にあるほうの牌を切るテクニックのひとつで手が進んだり手変わりしたように見せる効果があります。
中級以上の打ち手になると、相手がツモ切りか手出しかを見てることが多く、地味なテクニックですが、長い目で見ると必ず勝敗に差が出てくる部分です。すでに自分の手牌にある牌と同じ牌を持ってきた時に、その牌が不要な場合はツモ切りするか、空切りするか毎回考えるようにしてみましょう。
基本的には「相手にどう思われてるか」を意識することが大事です。
例えば、他家が3筒を1枚ずつ切っていて、以下の手牌から4枚目の3筒をツモってきたとします。
もちろん3筒は不要牌なので、そのままツモ切るか空切りするかの選択になりますが、あなたならどうしますか?
ここでは空切り(手出し)を推奨します。というのも、相手が既に河に3筒が切られており巡目も深いので、相手からこの手出し3筒は「オリ打ちでは?」と思うはずです。すると、相手からしたら不要な「白」「發」が出てくる可能性が高くなると考えられます。
このように、常に相手からどう思われてるかを意識してツモ切りか手出しかを選択することで、アガリ率も上がり、成績も上がってくるはずです。
このツモ切りor手出しの選択については話せば長くなってしまうので、以下のセオリーだけ今回は頭に入れておいてください。
・基本的にはツモ切りでOK(悩むくらいならツモ切る)
・その色の待ちにならなそうな不要牌を持ってきたら手出しした方が良い
・シャンテン数が少ないとき程、手出しの効果がある
・ツモ切りor手出しは、鳴いてるときに効果を発揮することが多い
上級者の方なら、なぜこのようになるのかは理解していると思いますが、基本的に手出しというのは自分の手牌の情報を与えるというデメリットがあります。なので、悩むくらいであればツモ切りを選択するようにしましょう。
②山読み
山読みとは、場に切られた牌から山に残っている牌・残っていない牌を推理するテクニックになります。例えば、以下のような手牌でどちらのメンツを落とすか悩んだ時に山読みを行います。
1筒3筒か1索3索のどちらが強そうか山読みをするわけですが、場に切られた牌から推理するテクニックなので、他家が以下のような河だったとします。
単純に有効枚数で言えば1筒3筒を残した方が良さそうですが、相手の河を見た感じ序盤から索子の下を嫌っている人と筒子のホンイツに向かってそうな人がいるので、山に索子の下が残っている可能性が高いと考えられます。
つまり、この場合単純な有効枚数で考えるのではなく、しっかりと山読みを行った上で1索3索を残した方がアガリやすいと考えられます。
このように、しっかりと山読みを行って手牌を進めて行ければ、アガリ率も向上し、自然と麻雀の成績も残るようになっていきます。
③待ち読み
待ち読みとは、相手がテンパイの状態であると仮定(もしくはリーチ状態)の時に、捨て牌から待ちを推理するテクニックになります。
基本的には、自分のテンパイまでが遠くて自分のアガリ目が少なかったり、点棒状況的に無理する必要がない場合は、危険度の低い現物などを切ってしっかりと降りることが望まれます。しかし、相手に先制リーチをされたが、自分もシャンテンで押すか引くか微妙な状況って麻雀中はよく発生すると思います。そんな時に使えるのが、この「待ち読み」のテクニックで、相手の待ちの候補を絞って押し引きの判断をする、いわゆる回し打ちなどをする時に使えます。
待ちの判断として、以下の4つは覚えておきましょう。
・裏スジ
裏スジとは、カンチャン待ちからリャンメン待ちに変化した時に捨てた不要牌により「その不要牌の隣の数字が危険牌になりやすい」という考え方です。
たとえば、他家の捨て牌に9筒がある場合、58筒(ウーパーピン)が裏スジとなります。これは、もし手牌に7筒9筒というカンチャンがあった時に6筒を引いてきたら、9筒を切る形になるためです。
カンチャン | リャンメン変化 | 捨て牌 | 待ち牌 |
---|---|---|---|
13 | 1 34 | 1 | 2-5 |
24 | 2 45 | 2 | 3-6 |
35 | 3 56 23 5 | 3 5 | 4-7 1-4 |
46 | 4 67 34 6 | 4 6 | 5-8 2-5 |
57 | 45 7 5 78 | 7 5 | 3-6 6-9 |
68 | 56 8 | 8 | 4-7 |
79 | 67 9 | 9 | 5-8 |
まとめると以下のようになります。
捨て牌 | 裏スジ |
---|---|
or | |
or | |
or | |
or | |
・間四軒
間四軒とは、放銃となる可能性が高い裏スジが2つ重なった状態のことを言います。捨て牌のうち、間が4つ空く数牌(5の差を持つ数牌)の組み合わせがみられたら間四軒と考える。
たとえば、捨て牌に2索と7索がある場合、手牌に4索5索を持っている可能性があるため、36索(サブローソー)のスジが危ないと推察できます。
捨て牌 | 間四軒 |
---|---|
– | |
– | |
– | |
– |
・跨ぎスジ
跨ぎスジとは、リャンメン待ち+1枚の状態の+1枚の牌のことです。その牌を捨てた時に完成するリャンメン待ちは、全て跨ぎスジに対する危険牌ということになります。よくリーチ宣言牌の近辺は危険だと言われているのは、この理論からです。
捨て牌 | 考えられる3枚形 | アガリ牌 |
---|---|---|
1 | 存在しない | 存在しない |
2 | 223 | 1-4 |
3 | 233 334 | 1-4 2-5 |
4 | 344 445 | 2-5 3-6 |
5 | 455 556 | 3-6 4-7 |
6 | 566 667 | 4-7 5-8 |
7 | 677 788 | 5-8 6-9 |
8 | 788 | 6-9 |
9 | 存在しない | 存在しない |
まとめると以下のようになります。
捨て牌 | 跨ぎスジ |
---|---|
or | |
or | |
or | |
or | |
or | |
or |
・壁スジ
壁とは場に同じ色の数牌が4枚全て見えていること、または、その事で成り立つスジ読みの事を言います。聞いたことある方も多いと思いますが、別名で「ノーチャンス」とも言います。
ここで言う場とは、河はもちろん、自分の手牌や鳴かれている牌、ドラ表示牌と全ての場所が対象となっており、自分の目から4枚全てが見えていれば壁を利用することができます。
例えば、2索が4枚見えていたら、2索3索の14索(イースーソー)待ちのテンパイというのは存在しないので、1索待ちはシャボか単騎か国士無双しか当たらず、比較的安全な牌だとわかります。この1索のことを壁スジと言います。4索は5索6索の47索(スーチーソー)待ちが存在している限り壁スジ(安全牌)にはなりません。
また、1と9はリャンメン待ちにならないので壁スジはありません。
4枚見えた牌(壁) | 存在しないリャンメン待ち | 安全な牌(壁スジ) |
---|---|---|
1 | – | – |
2 | 23 | 1(4は56が存在) |
3 | 23 34 | 1(4は56が存在) 2(5は67が存在) |
4 | 34 45 | 2(5は67が存在) 3(6は78が存在) |
5 | 45 56 | 3(6は78が存在) 7(4は23が存在) |
6 | 56 67 | 7(4は23が存在) 8(5は34が存在) |
7 | 67 78 | 8(5は34が存在) 9(6は45が存在) |
8 | 78 | 9(6は45が存在) |
9 | – | – |
まとめると以下のようになります。
壁 | 壁スジ |
---|---|
④シャボ待ちリーチ
三麻ならではのテクニックの1つに、リャンメン待ちにできるのに、あえてシャボ待ちにしてリーチするというのがあります。基本的に麻雀では待ちの多いリャンメンに受けることのが多いですが、打点を高くしたい時や安全牌を切りたい時、相手から待ち牌が出そうな時などにこのテクニックを使います。
例えば、三麻でよくあるのは以下のような手牌の時です。
5牌が全赤ルールの三麻ではこの場合1筒切りリーチが推奨されます。というのも、赤5筒切りリーチをすると待ちの枚数こそ多くはなりますが、出上がり率は字牌のあるシャボ待ちとそれほど変わらないですし、打点が大きく下がります。
裏ドラが乗らなかったとしても、シャボ待ちにしてツモればハネマン(12000点)まで伸びます。対してリャンメン待ちにして出上がりの場合は3飜(リーチドラドラ)なので4000点しかありません。
また、相手がリーチもしくはヤミでテンパイしていた場合に、放銃してしまった時の打点を下げる効果もあります。
5牌+字牌(役牌)で打点が伸びそうな時は、迷わずシャボ待ちにしてリーチするようにしましょう。
⑤速度読み
速度読みとは、相手と自分のテンパイまでの速度を読んで、自分が切る牌を選択することです。例えば、相手の手が速そうで自分がテンパイまで遠くてアガリに繋がらなさそうと判断したら、相手からリーチが来る前に危険な牌を切って安全牌を確保しておくといったテクニックです。
相手がテンパイまで速そう(もしくはテンパイしている)と判断する材料としては以下があげられます。
・副露(フーロ)数
鳴いている数が多ければ多いほどテンパイまで近づいていると分かります。三麻では2フーロ(2回ポン)していたら、ほぼテンパイと考えて良いです。
・ドラ牌や中張牌(チュンチャンパイ)が切られた枚数
いわゆる「油っこい牌」と呼ばれる牌で、これらが切られた回数が多いほどテンパイが近づいていると判断できます。ホンイツやチャンタなどを目指している相手だと極端な捨て牌になるので、一概には言えませんが、大体は普通の手なのでひとつの目安となります。ちなみにホンイツの場合は、その染めている色の牌が出てきたらほぼテンパイと考えて良いです。
・対子(トイツ)落とし
手出しで対子落としをしている方がいたら、他の面子候補が確定しているという証拠なので、テンパイが近いと判断できます。また、相手が七対子(チートイツ)ではないという判断にも使えます。
・手出しの回数
手出しの回数が多いほど、牌の面子が揃っていってる証拠なので、多ければ多いほどテンパイが近いと判断できます。特に鳴いた直後に出てきた牌には注目しておくことが大切です。
・安全牌の手出し
4枚目の字牌や2軒に通る安全牌などが手出しで切られた時は、テンパイが近いと判断できます。点数状況も考慮できれば、より精度が上がります。例えば、点棒に余裕がある人は安全牌を抱えながら打つのが普通なので、その人から手出しで安全牌が出てきたら、ほぼテンパイしたと考えることができます。
・リーチに対しての危険牌切り
リーチしているにも関わらず無筋やドラなどを切っている人がいたら、好形の一向聴(イーシャンテン)かテンパイしていると判断できます。リーチ者の現物で待っている(ヤミテン)可能性もあるので、注意が必要です。
⑥打点読み
打点読みとは、相手の手の高さを読んで、自分が切る牌を選択することです。例えば、相手の手が高そうで、自分の手は安いしテンパイまで遠そうなので、自分はオリる準備、もしくはオリるようにするといった判断をすることです。逆に相手の手が安そうだから、自分は一向聴だが押すといったことにも使えます。
このように、打点読みは押し引きの判断材料として重要なテクニックとなっております。
また、このテクニックでよく使うのがリーチ判断になります。自分はテンパイしたが、安いし相手が高そうなので、あえてリーチしないで一旦ヤミで構えておくといった判断ができます。
相手の打点の高さの判断材料としては以下があげられます。
・鳴いている牌
相手が鳴いている牌から、麻雀役が何なのかを予想し、打点が高いか安いかを判断します。例えば、ドラでもなんでもない中張牌を2回鳴いていたら、トイトイか役牌バック、もしくはタンヤオだからそんなに高くないだろうと予想できます。逆に同じ色を鳴いていたらホンイツかチンイツだから高そうと予想できます。
先ほどのリーチ判断にも繋がりますが、相手が「白」と「中」を鳴いていたりしたら、大三元(役満)の可能性があるので、自分はテンパイしたが「發」を引いてもオリれるようにリーチしないでおくといった判断ができます。
・華牌(北抜き)の枚数
相手の華牌(北抜き)の枚数が多ければ多いほど、打点が高いと判断できます。
・自分から見えているドラの枚数
自分から見えているドラの枚数によって、他家の手にどれだけドラがあるかどうか予想することができます。例えば、自分の手に赤5牌や華牌が多い時は、逆に相手の手はそれほど高くないと読むことができます。
自分の手にドラが多い時は、相手の手が安い可能性が高いので、押し気味に手を進めても問題ないと判断することができます。
・捨て牌
チンイツ(ホンイツ)やチャンタ、国士無双などを目指している相手だと極端な捨て牌になるので、そこからリーチが入った場合は相手の手が高そうだと判断できます。国士無双テンパイの場合はリーチしてこないと思いますが、一九字牌が手から切られた時はかなり危険なので、自分の点数と相談して、押すか引くか判断するようにしましょう。
⑦小手返し
小手返しは実際に麻雀牌を使ったテクニックの一つで、ツモ切りか手出しかを相手にわからないようにする技です。「小手返し 麻雀」などで検索すれば、いくらでもやり方が出てきますが、ネット麻雀では使えないテクニックなので、正直出来なくて良いと思います。
ルール違反ではありませんが、マナーのいい行為ではないため、セット(貸し卓)で仲の良い友達とやる時くらいにしておきましょう。
まとめ
今回は以上7個を上級者テクニックとしてご紹介しました。これらは、相手が強いからこそ使えるテクニックと個人的には思っています。牌効率や押し引き判断などの基礎がしっかりしている方は、相手が弱いと分かれば、これらのテクニックを使わなくても、普段通り打てば負けることはないでしょう。
相手が強くて困った時にでも、もう一度この記事を読んでテクニックを習得していただきたいと思っております。
初心者〜中級者の方は、まずはこのテクニックを習得する前に役や点数、牌効率などをしっかり勉強した上で、もう一歩上の段階としてこれらのテクニックもできるようになりましょう。
ありがとうございました。